大判例

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東京高等裁判所 昭和25年(う)2552号 判決

弁護人の控訴趣意中、判決に理由を附しない違法があることを主張する点について。

物品税法(いずれも原判示各移出当時のもの以下同じ)第八条第一項は同条同項所定の第一種の物品(但し書画骨董を除く以下同じ)の製造者は毎月其の製造場から移出した物品についてその品名毎に数量及び価格を記載した申告書を翌月十日迄に政府に提出しなければならないことを規定しているのである。そこで、原判示各塵紙(芯紙を含む)が果して同条同項にいわゆる物品であるかどうかについて判断を加えて見ることとする。先ず、同法第一条第一項には「左に掲グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニハ本法ニ依リ物品税ヲ課ス」とあり、一方物品税法にいわゆる命令の規定を調べて見ると、昭和二十二年十一月三十日政令第二百四十六号による改正前の物品税法施行規則にはその別表第一種丁類第八十三号(紙及びセロフアン)の価格一封度十二円に満たない塵紙については物品税を課しないことが規定してあり、又昭和二十三年九月十五日政令第二百九十号による改正前の同規則には、その別表第一種戊類第八十三号(紙及びセロフアン)の価格一貫につき二百円に満たない塵紙について物品税を課しないことが規定してある。それ故、右各規則によつて定められた右各塵紙については、物品税法第一条第一項所定の物品税を課することができないものといわなければならない。ところで、物品税法第一条第一項所定の第一種の物品と同法第八条第一項所定の第一種の物品とが同じものかどうかについて考えて見ると、前者には「左ニ掲グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ本条ニ依リ物品税ヲ課ス第一種(中略)第二種(後略)」とあるのに、後者には「(前略)第一種の物品(中略)ノ製造者ハ毎月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名毎ニ数量及価格ヲ記載シタル申告書ヲ(中略)翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ」とあつて、右第一条には「命令ヲ以テ定ムルモノ」とあるのに、後者にはただ「第一種ノ物品」とあるだけで、命令云々の字句がないので、右第一条第一項にいわゆる「第一種ノ物品」と右第八条第一項の「第一種の物品」とは互に相違するものではないかとの疑がありうるのであるが、同法にいわゆる第一種又は第二種というのは、同法の各条項に別段の定がない限りは右第一条第一項の場合と同様、第一種第二種の物品で「命令ヲ以テ定ムルモノ」を指称すると解すべきことは、同法の各条項に照らして疑のないところである。されば、前記各規則に「何々ノモノヲ除ク」と規定されている物品については、右各規則施行当時物品税を課することができなかつたのみならず、物品税法第八条第一項所定の申告をも要しなかつたものと解するのが相当である。そして、右各規則によれば、課税及び申告の対象から除かれた塵紙については、いずれも、価格と重量とによつて其の種類が特定されているのにも拘らず、原判決には、ただ、塵紙何締を税抜移出価格何円で何某に販売し、右製紙場(又は製造場)より移出したとあるだけで、その重量の表示がないのであるから、原判示だけでは、果して原判示各塵紙が右課税及び申告の対象であるかどうかが判らないのであつて、換言すれば、原判示のような表現法では、原判示各塵紙が物品税法第八条第一項所定の第一種の物品であるかどうかを判定するに由ないことに帰着するのであるから、原判決にはこの点について、刑事訴訟法第三百七十八条第四号にいわゆる判決に理由を附しない違法があるものと断ずるの外はない。即ち、原判決は到底破棄を免がれないことが明らかであるから、爾余の論旨に対する判断を省略し、同法第三百九十七条、第四百条本文に則り主文のとおり判決する。

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